活動報告
業績
社会的孤立による社会的認知機能の低下を改善させる薬を発見
幼少期から成人期における社会的孤立は、社会的相互作用の減少と関連しており、これが社会的認知機能の障がいに大きく影響することが知られています。社会的認知機能の背景には、自他を区別する脳機能が関わっており、これまでに島皮質や前頭前野などの脳領域が関与していることが知られていましたが、治療介入による社会認知障がいの回復にこれらの脳領域がどのように関与しているかは明確ではありませんでした。今回、大阪大学大学院薬学研究科の大学院生の横山玲さん(博士後期課程)、橋本均教授、笠井淳司准教授、広島大学大学院医系科学研究科(歯)の吾郷由希夫教授らの研究グループは、解離性麻酔薬ケタミンの鏡像異性体の一つである(R)-ケタミンを麻酔用量よりも低用量投与することにより、島皮質の機能回復を介して、社会的認知機能を改善させることを世界で初めて明らかにしました。この研究は、文部科学省 学術変革領域研究(B)「嫉妬の科学」、JSPS、AMED、JST、武田科学振興財団および旭硝子財団の助成によりおこなわれ、Molecular Psychiatry誌に掲載されました。
論文タイトル
(R)-ketamine restores anterior insular cortex activity and cognitive deficits in social isolation-reared mice.
論文URL:https://doi.org/10.1038/s41380-024-02419-6
プレスリリース:https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240223_1